母の緊急入院

老人ホームに入居している母が入院。
輸血を必要とするほど数値が低いらしい。
そく輸血。


夕食にペースト状になった病院食を食べさせる。
好き嫌いが激しいようで首を横に振り、不味そうなものは食べない。
スプーンに不味そうなものをのせ、美味しそうなものでコーティングして口に放り込む。


母が桃を好きだったことを思い出す。
老人ホームでは飲食物の持ち込みは禁止だから食べさせられなったけれど、入院中がチャンスか。


あと、好きな物はなんだっただろう?
子供のころを思い出してみる。


貧しい家庭だったけれど、美味しそうなものは全部俺に食べさせていたんだろうな?
美味しいものを一緒になって食べた時があったのか?
ああ、思い出せない。


「こうやって食べさせてあげることが(神さまから)最後に与えられた親孝行かもね?」そう妻に言われる。
まったくもってその通りだ。


そしてだけれどその母を見ているのがつらい。


もうね。親不幸なバカ息子だと思ったまま旅立ってっていいよ。
今更何ができようか。